7月2日(土)午後2時から,熊本学園大学において,水俣病問題から得られた教訓をフクシマ原発事故にどう生かすべきか,シンポジウムの形で討論します。主催は,原爆症認定訴訟熊本弁護団です。興味のある方は,是非ご参加ください。
7月2日(土)午後2時から,熊本学園大学において,水俣病問題から得られた教訓をフクシマ原発事故にどう生かすべきか,シンポジウムの形で討論します。主催は,原爆症認定訴訟熊本弁護団です。興味のある方は,是非ご参加ください。
2011年3月25日 熊本地裁において,ノーモア・ミナマタ訴訟の和解が成立しました。
5年半にわたる闘いが,決着しました。
当初は弁護団事務局長として,後に副団長として関わった裁判の決着に,充実感とともに,力を出し切れたのかという思いもあります。
この間,個人的にも事務所を独立したり,子どもが生まれたり,母が闘病の末に亡くなったりと,色々とあったことも脳裏を横切りました。
公私にわたり支えてくれた妻に感謝。
3月21日に開かれたノーモア・ミナマタ訴訟原告団総会において,第三者委員会の判定結果を受け入れ,和解を成立させることが決定されました。これで,約5年半に及ぶ訴訟にピリオドを打つことになったわけです。第1陣50名について,提訴前集会で,一人一人と握手して,解決まで頑張りましょうと誓い合ったことが今でも思い起こされ,感無量です。ただ,全体から見ると約6%ですが,救済対象から漏れる方が出たことについては本当に残念で,痛恨の思いです。その方々の無念の思いは,忘れてはいけないと思います。その上で,25日の熊本地裁和解期日には,厳粛な気持ちで臨みたいと思います。
いずれにしても,この裁判は終わっても,水俣病問題が全面解決したとは到底言えないでしょう。潜在被害者の実数は全くつかめていないし,若年被害者や胎児性水俣病患者の将来のこと,あるいは水俣周辺の環境問題や差別問題,さらにはチッソ分社化の問題など,問題は山積していると思います。
この訴訟では,被害者救済の範囲を従来より拡大させることができました。この勝利的和解が,真の意味での水俣病問題の全面解決につながっていることを信じるとともに,いつかはその日が来ることを祈ります。
投稿情報: 02:39 カテゴリー: 水俣病問題 | 個別ページ | トラックバック (0)
2010年3月29日は,水俣病問題史上,歴史的な日でした。裁判所の示した和解所見を原告及び被告ら(国,熊本県,チッソ)がそれぞれ受諾し,和解成立に向けての基本合意が成立しました。歴史的に重要なことは,その中身です。
所見は,救済対象者の選定について第三者委員会方式を採用し,委員は原告側推薦2名と被告側推薦2名,それに双方が了解できる座長の5名で構成されます。この方式は,これまで行政が独占していた救済対象者の選定権限を,被害者側に引き寄せ,行政から奪ったことを意味します。
もともと,行政が被害者を選定するという制度自体に問題がありました。なぜなら,行政(国=環境省,熊本県)は,平成16年の最高裁判所判決によって,水俣病被害の拡大を防止しなかった加害責任を断罪された立場にあります。つまりこれまでは,加害者が,ある人が被害者かどうかを決めていたのです。こんな加害者のための制度では,とても全ての被害者が救済されるはずがありません。その根本的な制度矛盾に,水俣病問題史上初めて風穴を開けたのです。
ただ,そのことが実効性を持つかどうかは,今後の闘いにかかっています。まだまだ油断できません。
投稿情報: 01:34 カテゴリー: 水俣病問題 | 個別ページ | トラックバック (0)
昨日11月18日,ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟において,熊本地裁に対し,第18陣の追加提訴がなされました。これにより,第1陣からの合計原告数は,2018名になりました。
これほどの水俣病被害者が,加害者である国・熊本県・チッソに対し,裁判をしなければならないという現状は,憂えるばかりです。潜在患者数については,調査さえされていません。公害の原点と言われる水俣病問題は,その被害者救済ですら,未解決のままなのです。
7月に,特別措置法が被害者の声を無視して強引に成立しましたが,それだけでは全ての被害者救済につながらないことを,今回の追加提訴は明らかにしました。これからも,多くの国民の皆様のご理解・ご支援をいただきますよう,心よりお願いいたします。
10月31日,水俣を訪れていた田島一成環境副大臣が,水俣病不知火患者会大石利生会長から,国が裁判上の協議のテーブルに着くよう要請をしたのに対し,この要請を「誠実に受け止め」て,「可能であるならば、和解による解決を図りたい」「和解協議が成立する条件などについて事前協議を開始する」との回答をしました。これは,ノーモア・ミナマタ国賠等訴訟を提訴した2005年当時の小池百合子環境大臣が,和解はしないと発言した方針を,和解に向けて協議をするという方針に変更したことを意味します。まさに,歴史的な発言だと思います。
もちろん,これから協議を始めるというだけですから,和解できるかどうかについては,まさに今後の国の態度次第と言うことになります。国が,加害者としての責任に基づき,本当に被害者をきちんと救済したいという姿勢で協議に臨まれることを期待したいと思います。
本日,ノーモアミナマタ国家賠償等訴訟の第16陣65名が追加提訴しました。これにより,現在の原告数は1811名に達しました。
この提訴は,与党提案による水俣病被害者救済法案に対する断固たる拒否回答と言えます。
水俣病被害者が,被害者を救済すると言う与党法案に,なぜ反対しているのでしょうか?
それは,被害者を救済すると名目では言いながら,法案の中身は,加害者であるチッソを救済する法案だからです。与党法案では,チッソを事業会社と補償会社に分社化し,利益を上げる事業会社を被害者救済から切り離し,事業会社の株式を売却した後は,補償会社を清算して水俣病問題を終わらせようとしているのです。その結果,被害者救済の原資は,事業会社の株式売却益に限定され,しかも清算後は加害企業が存在しなくなるため,訴えようもなくなるというものです。これでは,被害者切り捨て以外の何者でもありません。また,この救済を受けるには,裁判をしないことが条件でもあります。
このような法案に対し,提訴するということによって,明確な拒否回答をしたのです。
全ての水俣病被害者が適切に救済されるようになるまで,断固闘います。
本日(4/15),ノーモア・ミナマタ国家賠償等訴訟の第14陣原告57名が追加提訴しました。これにより,現在熊本地裁で裁判を闘っている不知火患者会の原告は,合計1707名になりました。今回の追加提訴は,与党が国会に提出した水俣病被害者救済のためと偽った加害者救済のための特別措置法案に対する被害者による断固たる拒否回答と言えます。与党は,この追加提訴の重みを理解できるのであれば,法案を撤回すべきです。また,民主党が独自の被害者救済法案を提出して与党と協議をする構えですが,与党法案をベースにした幕引きでは,水俣病問題は決して解決しないことを肝に銘じ,安易な妥協は絶対にしないでいただきたいものです。
昨日の公明新聞に,与党法案について,「分社化も地域指定解除も、被害者の救済がすべて終了し、水俣病問題の最終的解決が図られることを大前提としている」。だから,水俣病問題の幕引きをはかるという批判は的外れであると主張しています。
一見すると,もっともなように思えます。すべての被害者が救済されるなら良い話ではないか?
しかし,この「大前提」こそがくせ者です。
被害者の救済が「すべて終了した」とは,誰が,どのようにして判断するのでしょうか?
「すべての被害者」が救済された状態というのは,誰が被害者であるのかが判明していることが前提のはずです。そうでなければ,常に潜在被害者が存在し得ることを考慮しなければなりません。平成7年の政治解決で,すべて被害者救済が終了したと誰しも思っていたのに,現時点で救済を求める人たちが数千名に上り,裁判をしている人だけでも,1500名を超えているという現実を直視すべきなのです。潜在被害者を含めたすべての被害者を把握するためには,少なくとも,不知火海沿岸の全住民の健康調査を実施することが不可欠です。ところが,与党法案は,このような健康調査は実施しないことが前提なのです。
また,被害者であるかどうかの判定基準についても,現在までの水俣病に関する医学的な成果を踏まえたものではないし,ましてや平成16年の最高裁判決が支持した大阪高裁判決基準をも無視し,限定的な捉え方でしかありません。しかも与党案は,公的診断にこだわり,水俣病患者をもっとも多く診てきた民間医療機関の診断書を受け入れようとしていません。これでは,多くの被害者が切り捨てられるだけです。
つまり,与党の言う「すべての被害者」とは,「現時点で救済を求めて手を挙げている人たちの中から,行政が被害者と認めたすべての人」という意味なのです。加害者である国・県が,被害者が誰かを決めるということです。そして,公的診断と狭い判断基準で,加害企業のチッソの株売却益でまかなえる限度に対象者を絞ろうという魂胆が見え見えなのです。
このような,加害者側にとって都合の良い「すべての被害者救済」という「大前提」があるからこそ,幕引き法案にすぎないと批判されなければならないのです。このような法案は,決して可決成立させてはなりません。
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